5月16日の日記

「今○○県の山奥にいるの」
と彼女が電話してきたのは月曜日の夜。
死ぬ覚悟で家を出てきたらしい。

「また電話するね」
彼女は言い電話は切れた。

その言葉に逆らうのもためらわれたのでこっちからは
連絡せずに彼女を待った。
しかし電話はなく、翌朝私はメールを入れた。

病院へ行きデイケアに参加するも心ここにあらずという私。
メールも返信がなかったのでついに電話をかけることに。
しかし彼女の電話は「おかけになった電話は…」とむなしく
アナウンスが繰り返されるばかりだった。

夕方、夜と電話は通じず、他に連絡手段がない状況で
半ば私は諦めてしまっていた。

しかしもし彼女が命を絶ったのならば早く見つけてやらなければ
ならない。翌日デイケアのスタッフさんに申し出て連絡先を
聞こうと決めた。

そして今日。
AM7：30携帯が鳴った。彼女の携帯からだ。
一瞬私は出るのをためらった。なぜかって？
本人なのかそれとも本人以外の人間からなのか迷ったから。

「はい」
「もしもし？紫音ちゃん？」
彼女だ。無事だったのだ…
警察に保護されたらしく親御さんの迎えを待っているとのこと。
どうやら前日に捜索願が出された模様。

未遂に終わった今回の一件。
どんな思いで死に臨んだかを考えると胸が痛い。

無事だったのは嬉しい事だけれど果たしてそれが彼女にとっては
どうなのか？
これからきっと葛藤する日が続くのではないだろうか…